野鳥撮影をする上で最低限守るべきマナーが存在します。しかし、それは場所や考え方によって違ってくる場合があります。そのため初めて訪れる場所では、自分がメインとしているフィールドでのマナーとは違っているかもしれません。その違いからトラブルになる事も考えられますので、私の経験と合わせて説明していきます。
野鳥撮影におけるマナーとは
冒頭にもあるようにマナーについては、それぞれの撮影スタイルや考え方、その場所をメインフィールドとしている地元の方たちのルールによっても変わってきます。それゆえに難しいところがありますが、まずは共通しているマナーについて紹介していきます。
フラッシュはオフにしておく
初歩的な事ですが、野鳥にストレスを与えないようにフラッシュは使わないのが鉄則です。一般的にオート以外のモードではフラッシュが自動発光されることは無いはずですが注意しておきましょう。そして忘れがちなのが「AF補助光」です。こちらもオフに設定しておきましょう。
野鳥との距離
珍しい野鳥が出ている所では、大勢の方が撮影に来られています。そして野鳥が出る場所が決まっている場合は、三脚が野鳥が出てくるであろう場所と一定の距離をおいて並んでいるはずです。それがその場所での撮影距離となります。
野鳥撮影の機材を紹介した記事でも紹介していますが、使う機材により焦点距離も違いますし、手持ちか三脚固定かによっても、感覚的なものが違ってきます。焦点距離が短く手持ち撮影の方なら機動性を生かし、より近づきたいものです。反面、三脚を使用している方は動きずらい分、野鳥が出てきてくれた時にじっくり撮りたいのです。その時に手持ちで撮影している方が、距離を詰めた為に野鳥が飛んでしまうと文句を言われることもあります。
とはいえ、手持ちであれ三脚使用であれ、近づいて撮る方が画質が良くなるのは事実ですので、もし近付きたい場合は、野鳥だけではなく周囲のカメラマンの様子をしっかりと観察しながら行う方が良いでしょう。
撮影場所で大きな声で話さない。
野鳥ですので、飼われている鳥とは違い常に危険に身を晒しながらで生きているので警戒心が強いのが一般的です。そのため野鳥の出待ち中に大きな声で話していると警戒して出が悪くなることもありますので、なるべく静かに待ちたいところです。また、フクロウなど昼は寝ていて目を開けない取りに対して大きな声を出して目を開けさせようとする方もいますが、ストレスを与えることになりますので止めましょう。
自然環境を変えない
野鳥の撮影時に、目の前に枝があって撮影しにくい場合や野鳥が出てきてよく止まる木の手前に邪魔な枝や木がある事がありますが、撮影に邪魔だからと言ってその枝を折ったりしないようにしましょう。
初めて訪れた時は、邪魔な枝があったはずなのに次に訪れた時には、その枝がノコギリで切られていることもあります。そのことを地元の方に尋ねると、よそから訪れたカメラマンがノコギリ持参でやってきて切ったとなんて話もよく耳にします。切ったカメラマンのメインフィールドでは、邪魔な木は切っても誰も文句は言わないというか普通のことらしく、常にノコギリを携行しているそうです。
地元のカメラマンとのトラブル
大きな公園などに珍鳥が出た場合、その公園まで足を運ぶことになりますが、その公園をメインフィールドとされている地元の方たちがおられます。その方たちは、そこに出ている野鳥が、どのような距離で撮るのが良いのか、どこに出てくるのか、どうすれば警戒せず出てきてくれるのかなど、良くご存知です。そのため親切にどうすれば撮影しやすいか教えてくれます。しかし、他所から訪れたカメラマンが自分が思うように撮りたいがために「お前の鳥か!」と暴言を吐くカメラマンが存在しているのも事実です。
反面、私が出会った地元の方で「あれは私の鳥です。」と言い切る少し変わった方に出会ったこともありますが、その方は同様に様々なカメラマンとトラブルを起こしておられました。
一般の方に迷惑をかけないように配慮する
野鳥が公園に出ることは珍しい事ではありません。なぜなら公園は整備されているため野鳥を見つけやすいためです。そのためその公園に大勢のカメラマンが訪れることになりますが、公園はカメラマンだけではなく、一般の方も多く訪れる場所ですので、三脚で通路を塞いでしまったりしないよう配慮するようにしましょう。
まして、カメラに興味のない方からすると、見たこともないような大きなレンズに迷彩服を着た人が大勢いるだけでも威圧されてしまいます。
人の土地に踏み入らない
野鳥が出るところは、公園とは限りません。民家との間であったり、田んぼや畑など様々です。民家が近くにある場合は、大きなレンズを自宅の方に向けられるだけでも気分の良いものではありません。まして自分の家の敷地に勝手に入るなど言語道断です。
田んぼや畑で撮影する場合は、作業の邪魔することや田んぼや畑に入る事はもってのほかですし、畔を崩さないようにも配慮するべきです。
餌付け
これが最も見解が分かれる問題です。野鳥の会では、人の手を借りずに自然の中で生きていくべき鳥なので、撮影を目的として餌付けすると、本来は日本を離れるべき渡りの時期を逃してしまう可能性もあるとして「餌付け禁止」という考えを示しています。確かに餌をもらいすぎて動きが鈍くなったために猫に食べられたなんて話も聞いたこともあります。
実際にフィールドでも餌付けが行われている現場に遭遇します。している方たちの言い分は「餌をやろうがやるまいが、どうせ何か食べる」や「渡りで弱っているので元気にさせるために餌をやっている」と言う方も多いです。
餌付けする理由としては、撮影しやすくしたいということが一番ですが、まだ働いている現役世代は野鳥撮影にかけることもできる時間が限られるので、こうして餌付けをしてくれる方がいるおかげで、その場所にとどまってくれているので撮影するチャンスが巡ってくるという側面もあり、最近の野鳥撮影人気の手助けになっているのも事実だと思います。
餌付けに関して、様々な意見があるのは当然ですが、中でも一番の問題があるのは「餌付けなんて」と批判的な態度を取りながら、しっかり撮影して帰るカメラマンがいることです。そんなに否定するなら撮影せず、すぐにその場を離れるべきです。そのあたりの自分の見解を固めておくことも大事かもしれません。
マナーによるトラブルを回避する方法
最低限のマナーはどこに行っても同じでしょうが、ご当地マナーとでも言いましょうか、地元の方たちが決めているルールを知るには、地元の方に聞くのが一番ですので、野鳥を探す前にカメラマンを探しましょう。たいていの場合は、親切に出ている場所まで連れて行ってくれますし、ルールや野鳥の行動パターンなども教えていただけます。それがトラブルを回避する方法として一番手っ取り早いです。
最後に
これから野鳥撮影をしていこうと考えている初心者に向けて、野鳥撮影における一般的なマナーを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?そんなに難しい事ではないとおもいます。
挨拶をして「何か出てますか?」と声をかけるだけで、近くで出ている野鳥の情報を教えていただけます。中には閉鎖的な方やグループで固まっている排他的な方々もおられますが、大抵は、同じ趣味を持つ仲間意識から親切にしてくれますので、積極的に声をかけてみましょう。
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