長い間、防湿庫で眠っていた「SIGMA MIRROR-TELEPHOTO 400mm F5.6」を引っ張り出し、野鳥撮影に使用してみました。「こんな古いレンズを今さら」と思うかもしれませんが、今だからこそ使いやすいのではないかと思ったからです。その理由と撮影した画像を見て頂こうと思います。
レフレックスレンズ(ミラーレンズ)
レフレックスレンズ(ミラーレンズ)とも呼ばれ、一般的に流通しているものの多くは、焦点距離500mmF8が多いですが、その昔、特殊分散ガラスが高価なためシグマやタムロンなどのメーカーが理論上は色収差がなく、安価でコンパクトな反射式の望遠レンズを販売したところ、人気となり様々な焦点距離のものが販売されていました。その時代をけん引したレンズの一つが「SIGMA MIRROR-TELEPHOTO 400mm F5.6」です。
構造を簡単に説明すると、レンズに入ってきた映像をミラーで反射させ、その反射した映像をカメラに記録する仕組みのレンズなので、レフレックス(反射)レンズや鏡を使うのでミラーレンズと呼ばれます。
以前は、各社から販売されていたレフレックスレンズですが、次第に販売が中止されていく中でミノルタ時代に発売されたAFレフレックスレンズは、ソニーになってからも継続販売されていましたが、それも販売中止となったようです。
ソニー SONY 500mm F8 Reflex SAL500F80
現在、日本で販売されているものでは、KENKOから販売されている「ミラーレンズ400mmF8NII」のみです。今回、紹介する「SIGMA MIRROR-TELEPHOTO 400mm F5.6」に比べるとコンパクトですが、その分レンズが暗くなっています。
このレンズは、マウントにTマウントを採用しており、アダプターを変えることで各社の一眼レフやミラーレスに幅広く使用する事が出来ます。
更に、焦点距離が2倍となる、Tマウント式リアコンバーターも発売されています。
Kenko 望遠レンズ ミラーレンズ 500mm F6.3 DX
レフレックスレンズ(ミラーレンズ)の特徴
ここでは、レフレックスレンズのメリット・デメリットを紹介します。
メリット
- 鏡筒が短い
- 軽い
- 色収差がない。
- 屈折式レンズに比べ安い。
デメリット
- ピント面が薄い(ピント合わせが難しい)
- 光源や反射部がドーナッツ状のリングボケになる。
- 直線部分は二線ボケになる。
- コントラストが低い。
- 描写が甘い。
- 絞り値が固定。
今だからこそ使いやすい理由
そして今回、SIGMAのレフレックス400mmを、今だからこそ使いやすいと思った理由ですが、
- SIGMAの600mmF8や最も流通量の多い500mF8よりも、焦点距離は短い分、絞り値が1段明るい。
- 現代のデジカメの高感度耐性も上がっているので、ISO感度を上げシャッタースピードを稼ぎやすい。
- ミラーレス機は機構ブレ(ミラーショック)がないのでブレにくい。
- ピーキング機能によりピント合わせが容易になった。
- APS-Cセンサー機では、焦点距離が35mm換算600mmになる。
- APS-C機を使うことでフルサイズ機よりも周辺減光が緩和される。
- 画像処理ソフトが簡単で優秀である。
高感度耐性が上がり、昔ほどノイズに気を使わなくても良くなってきているとはいえ、ISO感度の上昇は画質の低下を招きます。そのため開放絞りが1段明るいのは有利である事。
焦点距離が短いのはAPS-C機を使う事で、35㎜換算600mmとなるので充分である。また、周辺減光は本来、絞りを絞る事で解消されますが、レフレックスレンズは絞っての対処はできません。そのため中心部をトリミングする形のAPS-C機を使う方が、フルサイズセンサー機よりも幾分か緩和されるのではないかと考えたからです。また、コントラストの低さはRAW現像ソフトを使えば、簡単に画像処理ができるからです。
作例
すべてRAWで撮影し、SILKYPIX Developer Studio Pro10の自動調整機能を使い現像していますが、ホワイトバランスのみ「撮影時設定」に変更しています。
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画像比較
「SIGMA MIRROR-TELEPHOTO 400mm F5.6」と「Canon EF400mmF5.6L USM 」が焦点距離とF値が同じなので、取り比べをしてみました。
こちらも、RAWで撮影し、SILKYPIX Developer Studio Pro10の自動調整機能を使い現像し、ホワイトバランス「撮影時設定」とフィルムシュミレーション「PROVIA/スタンダード」に変更しています。
SIGMAミラーの時は立って撮影していますが、機材を持ち換える時に座ったのですが、立ち上がると飛ばれそうな気がしたので、座ったまま撮影したので、こちらは下から撮影する形になっています。
以下は、それぞれを長辺1200Pxにトリミングした比較画像です。
左:SIGMA MIRROR-TELEPHOTO 400mm F5.6+NIKON Z50
右:Canon EF400mmF5.6L USM+FUJIFILM X-T30
最後に
今だからこそ使いやすそうに感じたのは、間違いではなくピーキング機能により素早くピント合わせが行えるので使用するカメラは、ミラーレスが向いていると思います。そして、レタッチに自信のない方や簡単に済ませたい方は、【SILKYPIX Developer Studio Pro10】がおススメ。富士フィルムのXシリーズなら、フィルムシュミレーションにも対応しているので、現像段階でビビットからプロビアその他のカラーに変更することもできます。
そして、リングボケですが、こればかりは、いくらカメラが進化してもどうしようない問題です。場合によっては背景がゴチャゴチャした感じになりがちですが、比較に使用したジョウビタキの画像では、やわらかい雰囲気と共に不思議な描写と捉えることも出来ますので、このリングボケの捉え方によりレフレックス(ミラー)レンズの評価が変わりそうです。
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